#IAUメールマガジン 2002年10月1日 発行

Topics =====================================================================
●経営語録
■メガネショップ「Zoff」の事例に学ぶ
■設備投資の失敗は短期と長期に分けて対応する
■時宜を得た大量購入でコストダウン
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●経営語録
陰徳有る者は必ず陽報あり、陰行有る者は必ず昭名有り。

・作者
淮南子(えなんじ) 中国前漢時代の百科全書

・ビジネスへの応用
企業経営においても人知れずに善い行いをしている会社は、
やがて世の中から感謝され評価が上がる。


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■メガネショップ「Zoff」の事例に学ぶ
[A40]
旧来のメガネ製造・流通システムを見直し、新しいビジネスモデルをで成功させた。

 昨年2月、東京・下北沢に「Zoff(ゾフ)」というメガネショップがオープンしま
した。商品はレンズ込みの価格で5千円、7千円、9千円というスリープライス。この
価格設定は、原価に合わせて価格を変え、顧客に幅広い選択肢を用意したものです。
そのうえ、最短2時間でできるシステムが支持され、続々と店舗を増やしています。
 これまでメガネ店では、フレームの価格だけの表示で、レンズ代は別料金。また、
薄いレンズやカラーレンズの使用すると、さらに値段があがる、というのが実情でし
た。「Zoff」はそうした価格の不透明さを一切なくしたのです。
 これは『デザインは日本で行い、生産は中国に委託するSPA(製造小売り)方式』
をとっているから。アパレル業界ではこの手法をとる企業が少なくありません。
「Zoff」を運営するインターメスティックの上野照博氏は、アパレルでのビジネス経
験から、この手法をメガネに活用してビジネス展開しました。約800種類のメガネの
型をデザインし、現在でも毎月新しい商品を投入。カラーバリエーションも豊富で、
しかも低価格。ファッションに敏感なヤング層が顧客の中心となっているのも納得で
す。
 旧来のメガネ製造・流通システムを新しい観点から見直し、いままでなかったビジ
ネススタイルをつくりあげた「Zoff」。この成功例は、他業界の人々に、当たり前だ
と受け入れていた商慣習を再検討する機会を与えてくれたともいえます。


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■設備投資の失敗は短期と長期に分けて対応する
[A60]
 設備投資は積極的な側面と慎重な側面のバランスが大切です。
 当社は、従業員150名の鉄鋼の二次加工メーカーです。
新規製造ラインの設備投資額は、機械装置の購入金額を中心に約5億円を投入し、減
価償却費が年間7000万円発生しています。
 しかし、実際にはこの設備に稼働率は低く、減価償却費が製造原価に反映される
ため、製品価格が高くなり、売上は急激に減少しています。
 そこで、短期的経営施策と長期的経営施策に分けて対応します。
短期的には、製造原価から減価償却費を除いたレベルで製品価格を設定します。
それを下限として販売活動に努力し、売上の増加をはかります。
 長期的には、ラインの休止、除却も含めて再度採算計算を行い、撤退ラインを設定
し、それを下回ったラインの稼動を休止し、売却あるいは除却します。
これらのデータを教訓として、次の設備投資に活かします。
 設備投資は、支出された後では削減できません。減価償却費はすでに支出された原
価なので、計算値をいくら少なくしてもコストダウンにはなりません。
 投資前の採算性計算が非常に大切です。


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■時宜を得た大量購入でコストダウン
[H40]
 当社は、従業員約30名の30代OL向けのアパレルショップです。主力のカジュアル
衣料は季節商品であるため、季節の変わる前の年4回、仕入金額が増えます。大量に
仕入の発生する月は値引きするよう大口仕入先と交渉を進めました。
 この結果、仕入原価を約10%下げることに成功しました。
 こうしたコストダウンの実行については、まず仕入量について過剰在庫の発生を防
ぐための適切な需要予測が必要です。店頭の責任者と仕入の責任者の密接な連絡と深
い議論が大切です。
 客観的数値データも採用すべきです。