IAUメールマガジン 2005年8月1日 発行

━━━━━━━━━━━━━━━━Topics━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▼歴史に学ぶ経営の教訓
 第7回 歴史を創った情報編集
▼税務政略
 第6回 LLPの活用と税務政略
▼全員経営者時代のやさしい管理会計講座
 第7回 成果配分モデル
▼健康生活
 第24回「クラシック音楽のある暮らしで心を癒すときに食べるおやつは?」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*****************************
 歴史に学ぶ経営の教訓 第7回
*****************************

■持統天皇に学ぶ情報編集戦略その4


●歴史を創った情報編集

持統天皇は「経営の永続化」のために決定的な情報編集を行った。
それが日本書紀、古事記、万葉集の編纂である。それらの情報編集戦略の目的は、以
下のとおりである。

1.万世一系の天皇制の確立
2.神の降下と現人神の認知
3.女帝の認知

安引宏は次のように主張する。

「神話世界の最高神が女性である文化は、ほかに例を見ない。しかもアマテラスは、
高天原にあって、このくにの在り方を規定している。同じように、このくにの在り
方の本質を規定したのも、七世紀末のひとりの女性であった。」

このために最大に利用したのは日本書紀であるが、古事記と万葉集も情報編集戦略の
セットとなっており、ここに戦略の巧みさがある。現代の科学でも明確に説明できな
い巧妙な情報編集戦略がある。それは結果から評価できる。1,300年も続いた国家体
制は世界的に見ても持統天皇が創設した体制だけだからである。

そのノウハウを探ろう。

1.ストレートでなく、間接的である
2.曖昧の中に真意を含ませている
3.物語を巧みに利用している
4.多くの意見や見方を取り入れているようで、首尾一貫した主張が隠されている
5.フラジャイルの応用である


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*****************
 税務戦略 第6回
*****************

■LLPの活用と税務政略


有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)制度が創設されました。
この仕組みは以下のとおりです。

(1)
有限責任です。
出資者は、出資額の範囲までの責任で、人的無限責任はありません。
ただし、債権者保護の観点から、登記し、財務情報を債権者に開示する義務がありま
す。

(2)
損益や権限配分を独自に設定できます。
従来の事業組合は、出資比率に応じた損益等の配分でしたが、LLPは、出資者の提供
する役務、知的財産、ノウハウなどを反映させて出資比率と異なる配分が可能です。

(3)
内部組織が独自に設定できます。
LLPの経営者(業務執行者)に対する監視のあり方を出資間で柔軟に決めることがで
き、取締役会や監査役会の設置等が義務付けられることもありません。

(4)
共同事業です。
LLPの意思決定は、原則として出資者全員で行うこととされ、出資者全員が経営に参
加します。


税務は以下のような取り扱いになります。

(1)
民法上の組合と同じ構成員課税(パススルー課税)です。
つまり、LLP自体に法人として課税されることはなく、出資者が受ける利益の分配は
出資者自身の収入として課税対象になり出資者の決算に加算します。

(2)
LLPの事業から生じた損失は、一定限度額までは出資者の決算に反映できます。

(3)
LLPの業務を執行する組合員は、各組合員に生じる損益計算書を各計算期間毎に作成
し、各計算期間の終了の日の属する年の翌年1月31日までに所轄税務署長に提出しま
す。


このLLPは、以下のような異なるリソースを有する個人、法人が共同で事業を行う際
に便利です。

(1)
お金はあるが、特許、ノウハウ、著作権等がなく、独自に事業が立ち上げられない会
社

(2)
特許、ノウハウ、著作権等はあるがお金がなく、事業化できない人

(3)
お金も、ノウハウ等もないが、役務を集中的に提供できる人


たとえば、漫画家がキャラクターを出資し、商社が資金を出資し、キャラクターの商
品化で実績のある会社や個人が役務を出資してLLPを設立します。設立時に、出資者
全員で、それぞれが持ち寄るリソースを評価し、シェアを決めます。利益はこの独自
に評価されたシェアで分配します。お金が無くても、才能がなくても、バイタリティ
とやる気があれば、出資者になれます。
仮に30%に評価されれば、LLPとして年簡に1億円の利益を獲得すれば、3,000万円の分
配を受けられます。

従来は、このような異なるリソースの組み合わせでは、使用料等の契約、業務委託契
約等で行われましたが、それでは共同事業性が発揮できませんでした。このLLP制度
を使えば、個人が大企業と対等に組んで事業を行うことが可能です。

従来の共同事業では、株式の出資という形態がほとんどでしたが、節税の観点からは
LLPの方がメリットがあります。初期の損失が同じ時期に自分の決算に取り込めるか
らです。株式形態の場合は、最終的に清算等を行ったときに損失となり、途中段階で
は税務上の損金にはなりません。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

*********************************************
 全員経営者時代のやさしい管理会計講座 第7回
*********************************************

■成果配分モデル
 
部門別会計、チーム別会計、プロジェクト別会計を行う目的の一つがそれぞれの責任
者等に成果(利益)を分配するための基礎情報を提供することである。
会社経営の基本要素は「人、金、モノ、情報」といわれるが、その中でも人の管理は
重要である。

オールドエコノミーの時代では、いかに支払っている人件費以上に会社に貢献しても
らうかが管理ポイントであった。そのための手法は、非計数的なものが中心であり、
精神的側面が重視された。

ニューエコノミーといわれる高度情報化社会では、全員と言わないまでも経営幹部は
経営者の感覚で仕事をする必要がある。そこに求められる管理会計は、それぞれの経
営者の業績を測定し、給料、賞与、昇格・降格等の人事評価を行うための情報提供で
ある。

自分の貢献利益を計算して、その利益の一定割合を給与あるいは賞与として受け取る
モデルは、最も典型的である。貢献利益は、部門等の責任者が管理可能な費用を売上
等の収益から差し引いた段階の利益である。

ここで、注意が必要なのは、日本国の法人税法は、会社役員の報酬、賞与については
規制が厳しいという点である。具体的には、役員賞与については、原則として費用と
して認めていない。役員報酬についても、過大部分は費用として認めなく、期中での
増加についても税務調査での指摘が予想される。

部門等の責任者が従業員であれば、分配利益を賞与としてもらっても税法上問題はな
いが、役員の場合は以下の税法上の規制がある。

(1)
代表取締役、専務取締役、常務取締役などの役付取締役がもらう賞与は費用とはなら
ない。利益処分扱いである。

(2)
監査役がもらう賞与は費用とはならない。利益処分扱いである。

(3)
取締役の場合は、部長、事業部長等の管理職を兼ねていれば、使用人兼務役員となり
、その使用人分に相当する賞与は費用として認められが、それを超える部分は費用と
して認められない。


このように、税法は旧態依然とした考え方をしており、インセンティブ人件費を中心
とした時代においては、不都合な点がある。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

**************************
 健 康 生 活  第24回
**************************

■クラシック音楽のある暮らしで心を癒すときに食べるおやつは?
[ストレス疲れ]


妊娠期間に、妊婦がいい音楽を聴いていると胎教にいいといわれるが、これは何も妊
婦に限ったことではない。いい音楽を聞けば、心をなごませることになるのは、胎児
もストレスに疲れたサラリーマンも同じである。

ブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」やドヴォルザーク「チェロ協奏曲」のような
曲は、心をなごませてくれる。

さて、そのような曲を聞くときにティータイムとして食べるおやつは何がいいかとい
うと、これがおはぎ。ビタミンB1を含む小豆がストレスに効くからである。