IAUメールマガジン 2005年7月4日 発行

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▼特集
 商法大改正速報
▼歴史に学ぶ経営の教訓
 第6回 持統天皇に学ぶ情報編集戦略その3
▼全員経営者時代のやさしい管理会計講座
 第6回 部門管理会計
▼健康生活
 第23回「ツボの宝庫である耳たぶの刺激は足の裏に勝る名医」
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 特集 商法大改正速報
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商法の改正案が参議院で承認され、平成18年4月1日より大部分が施行される見込みで
す。今回は、中小企業の経営に関係のありそうなポイントにしぼって解説します。
施行規則が発令されていませんので、細部は不明であり一部推測が含まれることをご
了承下さい。


1.株式会社と有限会社の一体化
新規に設立するケースから有限会社が廃止される。
そのかわり、株式の譲渡制限を設ける株式会社は、従来の有限会社にあった下記のよ
うな簡易な制度が認められる。
これは、実質的に譲渡制限会社(閉鎖会社)の有限会社化である。

(1)取締役会、監査役を設けなくてもよい。つまり、取締役が1人でも会社の設立・運
営ができる。

(2)取締役、監査役の任期を最長10年まで伸ばせる。

既存の有限会社については、定款の変更と登記の変更(推測)により、株式会社とな
るが、有限会社のままでも可能。全国で180万社といわれる有限会社の多くはそのま
ま残ると思われる。


2.最低資本金制度(現行法では、株式会社1,000万円、有限会社300万円)が撤廃され
る。1円でも株式会社が設立でき、その後の資本金増加の要請もない。
ただし、資本金の額にかかわらず、純資産額が300万円未満の場合には剰余金があっ
ても株主に分配できない。

同族小会社の場合には、配当は行わないケースが多いのでこの分配規制は特に問題は
ないが、実際にどれくらいの資本金で会社を設立するのが妥当かがポイントとなる。
いくらなんでも資本金が1円では体裁が悪く、取引先や金融機関の信用は得られない。
最低でも100万円は必要であろう。

なお、設立に際して、従来必要とされた銀行等が発行する「払込金保管証明書」は不
要となり、より安くて簡単な「預金残高証明書」となった。払込金保管証明書は、銀
行等の審査が厳しく手数料も高かったので、小会社の設立には便利となる。


3.類似商号規制の廃止
従来、会社の設立に当たっては、似た名前を事前に調べて、同じような商号があれば
社名や目的を変更した。これは、本店を移転する場合も同様の規制があり、面倒だっ
たが、この制度はなくなる。
つまり、同じ名前でも登記できるが、さすがに「同一住所、同一商号」の登記はでき
ない。


4.会計参与制度の新設
会社が作成する計算書類の信頼性を高めることを目的とした会計参与の制度が新たに
導入される。
その概要は以下のとおり。

(1)会計参与は、取締役等に準じる会社の機関(内部制度)であり、設置は任意。

(2)会計参与に就任できるのは、税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人に限ら
れる。

(3)会社にとっては、報酬の増加というコストアップになり、引き受ける税理士、公
認会計士等にとっては社外取締役と同等の責任が生じ、株主代表訴訟の対象となる。

(4)具体的には次のような職務を行う。
取締役等と共同して計算書類を作成し、会計参与報告を行う。
株主総会において、計算書類に関して株主が求めた事項について説明する。
会社とは別に計算書類を5年間保存する。

(5)会計参与を設置した場合は、その旨、会計参与の氏名または名称を登記する。

報酬が増加する会計参与制度を会社が利用するかどうかは、金融機関の融資の際の優
遇的取り扱い次第であろう。
つまり、会計参与制度を導入している会社に対する融資は、審査が簡便で金利も低い
などのメリットが企業にあれば導入はすすむと思われる。
一方、会計参与制度を導入していない会社に対しては融資をしないというようなこと
になれば、中小企業の経営に及ぼす影響は大きい。
会社の財務内容の優劣で大きく、
 A.優れている
 B.普通
 C.劣っている
と分類すれば、Aの会社は会計参与の導入が容易であるが導入のメリットは少ない。
B、Cの会社は導入のメリットは大きいが、導入は困難という矛盾をきたす。
お金のない会社ほど、高いお金を出さないと会計参与の引き受け手がいないという状
態になり、金融機関の選別が加速する可能性がある。


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 歴史に学ぶ経営の教訓 第6回
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■持統天皇に学ぶ情報編集戦略その3


●責任なき経営

日本国が初めて歴史に登場するのは持統朝の689年に諸司に配布され施行された飛鳥
浄御原令においてであった。
対外的に倭国から日本国に名称変更したことを表明し、領土も日本列島(北海道を除
く)に線引きし、国境線を確立したのもこの頃という。
(網野善彦「日本とは何か」、安引宏「原万葉葬られた古代史」)
ここから持統天皇の巧妙な絶妙な情報編集戦略が始まる。

一般的に国家を建設する場合、ルール(法令)を定め、行政組織を構築する。当時の
創生の日本においても律令を定め、太政大臣を中心とした行政組織を構築した。ここ
まではどこの国でも行っている手法である。

武力で天下を取っても、法令や行政によってその後の体制を確立維持しないと、国の
経営は不安定である。武力だけで維持することはコストがかかりすぎる。常に兵力を
配置することは、兵糧等を膨大に消費するからである。
さらに、武力で経営を維持することは常に武力で倒される危険性をはらんでいる。
そこで、律令と行政組織による支配体制を確立するのである。

体制を維持するためには、責任があってはならない。
国家経営に失政はつきものである。その度に責任をとっていては、革命が起こる。
中国の歴代王朝がいい例で、律令と行政組織による文治体制だけでは、ゴーイングコ
ンサーンは望めない。


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 全員経営者時代のやさしい管理会計講座 第6回
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■部門管理会計
 
部門管理会計の意味は、部単位で会計を行うという意味よりも広義に用いられており
、事業部、部、課、支店、営業所などの大小の組織単位、あるいは公共部門、流通部
門などの市場別に行う意味でも使われている。

要は企業毎の経営目的、部門管理会計を行うコストとの関係で決定される。これは、
部門管理会計をどこまで行うかということも関係している。
つまり、財務基本3表である、
損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書のすべてを作成するのか、一部
にとどめるのかという問題である。
部門管理を更に発展させたカンパニー制では財務基本3表のすべてを作成するが、通
常の部門管理会計では損益計算書のみの作成が多い。

部門管理会計を行う目的は、以下のように整理できる。

●短期的目的:
部門長及部門幹部の業績評価。損益予測、キャッシュ・フロー予測の精度向上。営業
活動の促進、コストの抑制あるいはコストの追加承認。

事例:
部門長の給与は基本給(生活給)+貢献利益の10%とする。(賞与なし)
当月の貢献利益を翌月15日に発表し、翌月20日締めの給与に反映させる。
貢献利益とは、部門の収益から部門長が管理可能な原価や費用を引いた利益のことで
あり、部門長の業績評価を行うための指標となる利益のことである。

●中長期的目的:
部門の拡大のための追加投資あるいは縮小、廃止の決定。


部門管理会計を行うにあたっては部門間振替の問題があり、処理の一例を以下に示す。
 ・本社管理部の負担金は直接部門の直接人件費の比率で配分する。

 ・固定資産の購入、リース契約は本社管理部が購入あるいは支払いを行い、月間ベ
ースで使用部門から本社管理部が賃借料を収益する。減価償却費は本社管理部が一括
月次計上を行う。

・固定内部請求は、リストに基づいて仕訳を登録しておく。
変動内部請求も個別の請求書の発行はせずに指標となる勘定科目に一定率をかけて振
り替えるように登録するか、表計算ソフトで振替表を作成する。
変動内部請求の処理事例として、配送センターの費用を営業部門に自動振替するケー
スについて取り上げる。
商品の発送費用を運送会社からの請求書あるいは荷物引受票から計上し使用部門に振
替える方法もあるが、これだけでは配送センターの家賃や人件費は回収できない。
そこで、外部に商品の保管と出荷業務を委託した場合の金額と売上との関係を比率で
捉える。
この比率を営業部門の売上高に乗じて、配送センターの家賃や人件費相当分を振替え
る。


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 健 康 生 活  第23回
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■ツボの宝庫である耳たぶの刺激は足の裏に勝る名医
[全身の疲れ]


足の裏、手のひらなど、人間の体のあちこちを治すのに役立つツボがたくさんある場
所として、大事な場所がもうひとつある。

それが耳たぶで、あの小さな面積のなかに足の裏と同じか、それ以上の数のツボがあ
るといわれている。

だから、ひとつひとつのツボ治療は素人には無理でも、耳たぶ全体をつまむ、引っ張
る、ひねる、押すなどあれこれ刺激を与えてやると健康づくりになる。

疲労からくる内臓の機能低下が、胃腸か肝臓かどこかわからなくても、耳たぶ刺激を
続ければ改善されてくるはず。