IAUメールマガジン 2005年4月1日 発行

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▼歴史に学ぶ経営の教訓
 第3回 江戸庶民に学ぶ職人気質
▼税務戦略
 第3回 役員退職金の効果的活用その2
▼全員経営者時代のやさしい管理会計講座
 第3回 週次決算の時代
▼健康生活
 第20回「ストレスも緩和して、体も心も楽しめるフルーツをどうぞ」
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 歴史に学ぶ経営の教訓 第3回
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■江戸庶民に学ぶ職人気質


今回は「歴史に学ぶ」とは少し異なるが、1冊の本を紹介したい。
山本一力著「だいこん」(光文社2005年1月)で、歴史書でなく小説である。
本書は小説としても面白いが、ビジネス書としてもおすすめである。

狭い長屋の大工の長女として生まれた主人公が、9歳で天才的な「飯炊き」の技術を
発揮し、18歳で「一膳飯屋」を開業し、成長発展させる話である。
「ヒト、カネ、モノ」の経営基本要素のすべてにわたって、経営の参考になる。
たとえば、売上の増加に伴い、新たに店員を採用する場面があり、口入屋(人材斡旋
会社)の番頭が主人公の女性経営者に教えた人定めのコツが面白い。

●笑顔がきれいな人
●骨惜しみをせず、腰が軽い人
●声が明るい人
●好き嫌いを言わず、出されたものは残さずなんでも食べる人

特に、最後は含みがあり、主人公は、女性の応募者全員に「烏賊の塩辛」をお茶うけ
として出した。一人、「出してくれた人に申し訳ないので、烏賊の塩辛は嫌いだった
が食べた」という人が採用された。

「欧米流の経営がもてはやされ、取引先や従業員を無視しても敵対的M&Aによる事業
 規模の拡大は悪いことではないと考える若い経営者がいる。
 しかし、企業にはそれぞれ風土・文化があり、長い年月の中で培われてきた伝統、
 あるいはDNAとも呼べるようなものがあって、それが企業の強さにもなっている。
(週刊文春2005年3月31日号64ページのコラムより)」

江戸時代の勤勉で頑固なまでに本業にいそしむ職人や商人の気質に、経営の王道を見
る。
財務活動はしょせん経営の黒子であり、縁の下の力持ちである。表舞台に出るとろく
なことはない。

キャッシュ・フロー計算書でも、営業活動収支が大切であり、財務活動収支はタイミ
ングのずれを調整する機能にしか過ぎない。

仕入、製造、販売があくまでも企業の主流、要である。
日本放送のラジオ局でいえば、仕入にあたるのは萩本欽一などのタレント、製造にあ
たるのは社内の制作スタッフ、販売にあたるのはリスナー、あるいは広告主のスポン
サー企業である。

いくらファイナンスでがんばっても、それらにそっぽを向かれたら企業経営はありえ
ない。


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 税務戦略 第3回
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■役員退職金の効果的活用その2


退職金で節税するためには、当たり前であるが退職しなければならない。
企業が利益を多く計上する時期と退職の時期は必ずしも一致しない。
このような場合の節税手法として、「グレードダウン」がある。

役員の場合、会社から完全に辞めなくても、以下の条件を満たせば退職金を支給でき
る。(法人税基本通達9-2-23)

1.常勤役員から非常勤役員への変更。
2.取締役から監査役への変更
3.上記の変更後の役員報酬が50%以上減少すること

このような節税手法が必要とされるのは、多くの場合オーナー社長である。
そこで、非常勤の会長(代表権なし)になればどうかという質問が多い。
このグレードダウンが認められる趣旨は、
「役員としての地位又は職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にある
 と認められること」
なので、たとえ非常勤で代表権を有しなくても実質的にその法人の経営上主要な地位
を占め重要な経営意思決定を行っている場合は除かれるので、注意が必要である。


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 全員経営者時代のやさしい管理会計講座 第3回
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■週次決算の時代


リアルタイム処理によるスピードアップと省力化が会計に求められている。

毎日決算することを日次決算といい、スピード経営の極みとして注目されているが、
現実には売上、仕入などの主要な取引は毎日把握し計上するが、販売費及び一般管理
費等の費用は概算や予定で計上しているケースが多い。

本格的な決算レベルで早いのは月次決算であるが、出来上がりの時期は様々で翌月の
5日から翌月末までの差がある。

経営者としては損益を早く知りたいのは当然であるが、そのためによけいなコストが
かかっては意味がない。
日次決算が理想であっても、経理部門に多くの人員を投入しては本末転倒である。
自動化等によって低コストで実現するには、週次決算が妥当な水準であり、そのため
のノウハウは以下のとおりである。

●取引発生現場で入力したデータをそのまま会計仕訳データとする。
●仕訳伝票等を記載せずに、原始証ひょうに基づいてダイレクトに入力する。
●チェックを事前と事後に明確に区分する。
●事前チェックは支払予算と照合する。支払予算のベースは「採算決裁書」とする。
●事後チェックは経理で行い、原始証ひょうや業務台帳等と照合し、科目の誤りがあ
 れば経理で修正する。


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 健 康 生 活  第20回
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■ストレスも緩和して、体も心も楽しめるフルーツをどうぞ
[ストレス疲れ]


栄養分というより、体の機能が正常に働くよう保っているのがミネラルで、不足する
と内臓や脳が正常な働きをしなくなるという、縁の下の力持ちである。

体が健康であれば、多少のストレスなどものともしないという心を持つことができる
から、ミネラルバランスをととのえることはストレス緩和に欠かせない。

そんなミネラルをたっぷり含むフルーツがライチ。見た目もかわいく、ひとつずつむ
きながら食べる楽しさもある。
最近は冷凍ものが簡単に手に入るから、常備しておいて毎日のデザートにしよう。