IAUメールマガジン 2003年2月1日 発行

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●経営語録
■プロジェクトX「ウオッシュレット開発物語」
■倒産企業の兆候
■委員会等設置会社制度
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●経営語録
蝶の舌は隠れていて見えないけど、蜜を吸うときにぜんまいのように巻いた舌を伸ば
すんだ

・作者
スペイン映画「蝶の舌」
1999年、ホセ・ルイス・クエルダ監督、マヌエル・リバス原作


・ビジネスへの応用
経営の将来に不可欠な行動を確実に実践するために、特化した機能を密かに準備し、
いつでもその時に使えるようにすべきである。


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■プロジェクトX「ウオッシュレット開発物語」
[A40] 新規事業
 TOTOのウオッシュレットは、まさにマズローの欲求段階説の応用である。それ
までの便器は、第一段階の生理的欲求が満足されるという商品であったが、より快適
な環境の欲求を満たすべく商品開発が行われた。健康ブーム、清潔志向に応えようと
いう開発志向である。
 その努力の過程はすさまじい。ビデ機能を追加するときに、女性の陰部は肛門から
何センチ離れているかの実証データで得ることであった。当時の女子社員には頼む勇
気すらなかった。
 技術者たちは、ストリップ小屋に通い、ついにつきとめた答が「3センチ」であっ
た。一巡した感のあるウオッシュレットであるが、製品をいかにスリムにするか、洗
浄感をいかに高めるかなど、常に進化している。
 需要を喚起する新製品の必要性は尽きることはない。


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■倒産企業の兆候
[H60] 回収・債権管理
倒産の兆候を早めに見分けるチェックポイントは以下のとおり。まず人の動き。
1.管理部門の幹部の退職
経理、人事、経営企画室などのスタッフ部門は会社の経営状態がよくわかる。これら
部門の幹部退職は倒産の前兆といえる。経理担当者の表情も日頃からよく観察してお
く。倒産直前は、はっきり顔に表れるケースが多い。
2.幹部社員のアフター5に注目
急に部下を連れて飲みに行き、愚痴をこぼす回数が増えるか、逆に飲みに行く回数が
急激に減って、さっさと帰るようになる。
3.経営陣の動きに注目
いままでゆっくり出社だった経営陣が急に朝早く出勤するようになるのは、倒産の切
迫感に襲われてのケースが多い。
4.銀行からの出向者の動きに注目
銀行からの出向者が急に引き上げた場合、逆に銀行が通常より多い出向者を送り込ん
だ場合は、銀行が見切りをつけた可能性が大きい。街金融の取立てと思われるうさん
くさい素性の人間の出入りも最後の段階を現している。
5.従業員の急激な数の減少、社内の雰囲気の悪化、モラルの低下など。

物の動きは以下のとおり。
1.急激な在庫の減少
少しでも換金するために通常在庫を二束三文でバッタ屋等に販売するケースは、最後
の段階を示していることが多い。
2.納期の遅れの増加
仕入れ業者への支払いが停滞して生産等が遅れ、納期に間に合わないケースの増加は
、会社にとって深刻な状況。得意先の信用を失墜するばかりか、クレーム費用の増加
、値引きの要求などで利益がさらに減少、運転資金の減少、仕入資金の減少、仕入れ
のストップ、生産ストップという悪魔の連鎖に陥る。仕入業者が頻繁に変わるのも要
注意。
3.再建計画のその後に注目
経営革新、経営改革が叫ばれ、実行されて1年以上たっても単年度の赤字が解消でき
ない場合は、要注意。経営改革の過程で黒字部門、黒字子会社が売却された場合は、
当座の運転資金を得るため緊急処置ともいえる。


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■委員会等設置会社制度
[B20] 商法実務
 従来の会社組織とは異質の委員会等設置会社制度とは、取締役会の中に以下の3つ
の委員会を必ず設けることである。
1.指名委員会
株主総会に提出する取締役の選任及び解任に関する議案の内容を決定する
2.監査委員会
通常の会社における監査役と同じ権限と職責
3.報酬委員会
取締役及び執行役が受ける個人別の報酬を内容を決定する権限
 なお、各委員会構成の過半数は社外取締役でなければならない。この点が、日本国
における普及のボトルネックになりそうでである。
 実際の日常の経営は、業務執行を担当する役員としての「執行役」に任せる。新株
や社債の発行など、通常の会社における取締役会決議事項についての決定権限を取締
役会が執行役に大幅に委任し、監査役は置かない。
 この委員会等設置会社の取締役は、通常の会社の取締役とは異なり、会社の通常の
業務執行行為に従事することはできない。したがって、代表取締役は置かれず、これ
に代わるものとして代表執行役が置かれる。「代表執行役社長」というような肩書き
になろうか。

 委員会等設置会社のメリットは以下のとおり。
1.迅速・果敢な業務決定が可能になる。
2.取締役の人選や各取締役の報酬の決定権限が代表取締役に集中している弊害を解消
できる。

 その他の通常の会社との差異は以下のとおりである。
1.通常の株式会社は取締役に一定の無過失責任が課されているが、委員会等設置会社
は取締役及び執行役の責任を過失責任としている。(執行と監督の分離による十分な
監督体制の確保のため)
2.委員会等設置会社は、取締役会による十分な監督が期待できるところから、利益配
当についても取締役会限りで確定することができる。
3.取締役の任期は1年(通常の会社は2年)で毎年株主の信任を得る。
4.通常の会社の執行役員と委員会等設置会社の執行役は名称こそは似ているが法的性
質は大きく異なる。執行役員は重要な使用人に過ぎず、取締役の指揮命令下にあり、
株主代表訴訟の被告とはならない。