IAUメールマガジン 2003年1月1日 発行

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●経営語録
■リースか買取りかの分岐点
■経営手法「ザ・ゴール」のポイント
■新規事業の方向性
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●経営語録
忙中閑あり、苦中楽あり、死中活あり、壺中天あり、意中人あり、腹中書あり

・作者
安岡正篤 昭和を通じて政財界に影響を与えた陽明学者

・ビジネスへの応用
東洋的な気宇壮大な発想、逆説的な発想は、リーダーとしての心構えの基本ともいえ
る。


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■リースか買取りかの分岐点
[D10] 経理財務全般
 機械や備品を購入するときに、リースか買取りかで迷うことが多い。最近は、対象
資産が、車両、内部造作にまで拡大している。リースのメリット・デメリット、買取
りのメリット・デメリットは以下のとおりである。個々の状況に応じてこれらを比較
して決定する必要がある。ここで取り上げるリースは通常のリース(ファイナンス・
リース)である。
●リースのメリット
資金不足の場合でも資産が使用できる
新規物件への取替えが容易
物件に係る事務負担が軽減される
●リースのデメリット
本来の物件価格に加えて、金利、償却資産税、保険料、事務手数料等が上乗せされる
ので、コスト的には高くなる。
●買取りのメリット
コスト的には安い
優遇税制がある場合、税額控除と特別償却の選択適用が可能
金利の低い借入金で購入できれば、資金不足のデメリットも解消できる
リース期間が終了したときの再リースか買取りかの追加コストがない。
所有権があるので、担保価値の可能性あり。
消費税を購入時に全額仕入税額控除できる
●買取りのデメリット
資金が足りなければ購入できない
陳腐化への対応が遅くなる
物件に係る事務負担が大きい


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■経営手法「ザ・ゴール」のポイント
[A60] 経営改善
 企業が目指す目標(ゴール)は、現在から将来にわたって儲け続けることと明確に
定義し、この目標達成を妨げる「制約条件」を明らかにし、その解決を図ることで目
標の達成を実現する。
 TOC(Theory Of Constraints)という制約条件の理論が根本にある。
TOCとは、「全体最適」の思想である。部分最適の総和は必ずしも全体最適につな
がらない。
 以下の経営改革手法を使う(ザ・ゴール「エリヤフ・ゴールドラット著」)
●スループット会計:
スループット=売上高−直接材料費。企業は第一にスループットの最大化、第二に企
業内に滞留する在庫の削減に取り組むべきであり、経費の削減は優先順位の最後。
●DBR(ドラム・バッファ・ロープ):
ドラムは能力に制約がある工程、バッファーはこの制約工程をフル稼働させるために
あらかじめ設定しておいた時間的余裕、ロープは初工程(制約条件より前の工程)へ
の原材料の投入タイミングを制限する時間的な条件。
●思考プロセス:
問題点の明確化、問題点の原因の追求、原因の背後にある矛盾や対立の明確化、中核
的対立をブレークスルーする。実行過程を明示する。

マクドナルドの格安ハンバーガーは単独では赤字商品である。しかし、利益率の高い
ポテトやドリンクの注文が増える。ハンバーガー自体の販売個数も4.8倍に増えた。
トータルキャッシュは増大した。全体最適は、企業外部のサプライチェーン、さらに
市場全体に拡大される必要がある。


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■新規事業の方向性
[A40] 新規事業
 マズローの欲求段階説は新規事業開拓の参考になる。つまり、人間の欲求は、飲食
等の生理的欲求が満足されれば、安全欲求、社会的欲求、自我欲求、自己実現欲求へ
と欲求の次元が上がるという考え方。
 現在は、生理的欲求がほぼ満足された段階であるが、それより上の欲求に対しては
満たされていないので、新商品や新サービスの余地は沢山ある。
 たとえば、自己啓発・再教育など生活を支援し変革する産業群や価値実現型の産業
群が成長する。経済、社会システムをリエンジニアリングする産業群が成長する。環
境関連機器、素材、省エネルギー機器、低公害車、ITSなど。
 もっと健康に、もっと豊かに、もっと便利にという潜在ニーズはまだまだ満たされ
ていない。(立教大学大学院特別任用教授石黒憲彦氏の講演より)