IAUメールマガジン 2002年9月1日 発行

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●経営語録
■カーアフターケア「カーコンビニ倶楽部」の事例に学ぶ
■人件費のコストダウン役員報酬のカットから
■同業他社とのアライアンスで物流費を削減
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●経営語録
桃李ものいわざれども、下自(したおの)ずから蹊を成す。

・作者
司馬遷「史記」 中国漢の時代の歴史家

・ビジネスへの応用
特に宣伝をしなくても顧客満足度の高い企業には自然に顧客が集まる。
成蹊大学の語源でもある。


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■カーアフターケア「カーコンビニ倶楽部」の事例に学ぶ
[A40]
職人の作業をシステム化して時間を短縮。
顧客ニーズにタイムリーに応えるサービスを確立した。
 「カーコンビニ倶楽部」は車のアフターケアを行うコンビニエンスストア的な存在
として、現在最も成長しているフランチャイズチェーンです。この事業を手掛けてい
るのは、ソフトウェア開発会社である翼システム(株)。同社は、主に整備工場や板
金工場向けにパッケージソフトを開発、コンピュータの導入からシステム構築までト
ータルにサポートしてきました。そんな中で『整備工場を支援するシステムが開発で
きないか』と考えたことが「カーコンビニ倶楽部」誕生のきっかけとなりました。
 いままで時間がかかっていた見積を、データベースの活用で短時間で正確なに出せ
るシステムを開発。また、職人のカンに頼っていた板金作業の見直し、工具・素材の
開発、従業員の教育などをすべて同社が手掛け、車のキズやヘコみを最短45分のスピ
ードで修理する業態を生み出しました。
 現在、カーコンビニ倶楽部は全国に2300店舗、修理台数は50万台を突破。「料金が
どのくらいになるか不安」「時間がかかりそうで嫌だ」といったオーナーのニーズに
見事に応えた成果です。エンドユーザーのニーズを見極め、それを反映させれば必ず
成功するといったビジネスモデルの好例だといえます。


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■人件費のコストダウン役員報酬のカットから
[C50]
固定費の多くは人件費です。人件費を下げるには大きく以下のように分類されます。
1.従業員賞与カット
2.役員報酬カット
3.従業員給与カット
4.業績給の導入(収益あるいは利益と連動させる)
5.正社員解雇、退職による派遣社員へのシフト
6.正社員解雇、退職によるパート、アルバイトへのシフト
7.正社員解雇、退職によるアウトソーシングへのシフト
8.正社員解雇、退職による顧問等の活用
7.新規採用の抑制
8.ワークシエアリング
 当社は電子部品を製造・販売しています。
従業員は約100名。IT不況で受注額が急減、一気に赤字決算となってしまいました。
そこで、コストダウンをはかるため、固定費に占める割合の大きな人件費を調べたと
ころ、従業員の月額平均給与が40万円、4名の役員平均は160万円となっていました。
何と4倍です。しかもその情報は全社に知れており、従業員のモチベーションを著し
く低下のさせていました。「会社が苦しい時に、役員は危機感がない」という雰囲気
です。
 そこで、当社は急遽以下の経営施策を立案・実行しました。
1.役員報酬を一律30%カット
2.従業員は現状維持でカットなし。解雇もなし。
3.業績が当初予算を上回れば、従業員には決算賞与を支給
4.以上を全社員に周知徹底

 これにより急速に業績が回復して、黒字に転換しました。人件費のコストダウンは
トップより率先垂範が第一です。
 ある会社では、業績が悪化する前に社長自ら毎月200万円の役員報酬を1年間辞退し
ました。
実際に赤字になってからでは手遅れであり、警鐘の意味で効果的なパフォーマンスで
す。
もちろん、いままで高給をとった社長だからできるという陰口もありますが、早めは
早めに手を打つという経営姿勢は高く評価されます。


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■同業他社とのアライアンスで物流費を削減
[H50]
 当社は従業員数約100名の医療器具メーカーです。卸売会社、代理店の配送は運送
会社に委託しています。在庫管理と発送作業も外部業者に委託しています。
 これらの物流費を分析すると以下の問題点がわかりました。
1.毎月売上は増減するのに、(むしろ売上高は減少傾向にあるのに)運賃は一定か
月によっては増えています。
2.在庫の保管スペース、発送作業量も減少しているのに委託保管料等は一定です。

 そこで、近隣の同業他社数社と共同保管、共同配送の提携を行いました。
それにより物流コストが約20%下がりました。
この同業他社アライアンスを実行するための具体的なスキームは以下のとおりです。
1.明確で、具体的で、フェアな協定書の作成
2.正確な費用負担計算
3.機密保持、不可侵契約等の締結

 このようなスキームを中小企業が実現するためには上記のの書類の作成、毎月の計
算を会計事務所が行うなどの新たな役割も期待できます。