IAUメールマガジン 2002年5月1日 発行

Topics ===================================================================
■中小法人の退職給与引当金の取崩しは10年間均等額。
■デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を検証。
■土地税制の改正。まだまだ見直しがある?
==========================================================================


■中小法人の退職給与引当金の取崩しは10年間均等額。
[E20]

「平成14年度税制改正の要項」が財務省でまとめられました。4月以降廃止される
退職給与引当金の取崩しは以下のようになっています。
●大法人
 取崩期間4年。当初2年間は年30%(計60%)、次の2年間は20%(計40%)。
●中小法人及び協同組合等
 取崩期間10年。各年10%の均等で取崩し。

会計上債務があれば、「退職給付引当金」として計上し、税務調整します。
会計と税務の費用計上にタイミングのズレが生じますので、税効果会計の対象になり
ます。
節税効果はなくなりますが、従業員の退職原資の確保としては、適格年金か特定退職
金共済制度、中小企業退職金共済制度の活用が考えられます。


============================================================================


■デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を検証。
[A60]

デット・エクイティ・スワップは、金融機関の不良債権処理の手法です。経営不振の
企業が借入金を株式に振り替えることで財務内容を改善し、経営の再建をめざします。
利点としては、借入金という債務を自己資本に転換させることにより利子負担を軽減
でき、業務回復の可能性が高められます。また、債権者側では、株式への転換により
不良債権を減少させられると同時に、再建が軌道にのれば配当や売却益という期待が
できます。反面、問題点としては、債権時価は、実際の債権額を下回るため、税務上
の評価をどうするか、という点があげられます。
たとえば、債権額を100、実質的な価値を50としたケースでは、債務者側に50の債務
免除益が計上されことになり、欠損金で消せない場合には課税所得が発生。さらに、
債権者側には寄付金課税の問題も生じることになります。また、債権の券面額100を
株式100に転換すれば損益に関係しないことになりそうですが、債権者側の株式取得
額が適正なのか、という議論もでてきそうです。デット・エクイティ・スワップにつ
いては、今後、商法と税法の取扱いがどのようになるのか、法制の整備とその解釈に
注目したいところです。


============================================================================


■土地税制の改正。まだまだ見直しがある?
[E50]

平成16年以降、個人の土地・建物の長期譲渡所得に対する税率は、8,000万円超の部分
でも税率が従来の30%から25%になります。また住民税も8,000万円超の部分の税率が
9%から7.5%に。この税制改正により、最高税率39%が廃止され、4,000万円までは所
得税・住民税合わせて26%(所得税20%、住民税6%)、4,000万円超の部分は32.5%
(所得税25%、住民税7.5%)となります。一方、法人の長期譲渡に関しては、5%追
加課税の長期譲渡、10%追加課税の短期譲渡、ともに、平成15年までは追加課税の停
止措置がとられています。しかし、平成16年以降の方向性はまだ示されていません。
評価額の下落を背景にした土地税制の見直しは、平成16年以降もまだまだ続きそうです。